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男の友情に泣く、中日版・星逢一夜

初日行ってきたどーーーーーーー!!!!!!!!

 

 星逢=夏ってイメージだから真冬の星逢ってどうなの?って感じだったんだけど、いざ幕が開いたら変わりすぎた脚本についていくのに必死で体感温度にまで気が回らなかった。(うえくみ先生、再演でも容赦ない(苦笑))暑いのか寒いのかよく分からないけど目の前に現れた蛍村の風景と櫓の懐かしさに自然と涙が出てきた。観る側も今までの蓄積があるからちょっとしたことで涙スイッチが入ってしまうんだよね…(もはや病気)でもまだ初演との比較で頭が忙しいから“五感で感じる”ってところまで到達できてない気がする。そう考えるとあの夏の自分のエネルギー凄い(笑)

 

初演との変更点を挙げたらキリがないから個人的に一番印象に残った晴興(紀之介)と源太の友情について。

 

 晴興側から物語を見ると源太は大劇場の頃が好きで、中日はそれに立ち戻った源太像をまた望海さんが演じてくれるのが嬉しかった。さらに今回は晴興(紀之介)と源太の心の繋がりが感じられるのがいい。晴興とお泉ちゃんの関係がメインに描かれている初演は質素な世界観の中にもきちんと起承転結があってドラマティックになってるけど、今回の新演出版はそれに加えて初演には無かった温かさと優しさがあって好き。

 初日遠征から帰宅して歌劇の演出家インタビューを読んだら「早霧は彼女自身の本質から、人間の善なる部分や優しい部分を嘘なく演じられる人」「今回は大人になった晴興の部分も早霧の持ち味に寄せて演出できたら」と語ってて納得した。まさにそのとおりに仕上がってる。先生凄いな~。(語彙力皆無)

 

 老中様になってから、初演は故郷への想いや自分の感情を殺して政策を進めていく冷徹さが苦しかったのが今回はまだ私情を捨てきれずに迷っている老中様。受ける印象はかなり違うけど恐らく晴興の根底は同じで、それを抑える強さがあるかっていうところでの演じ方の違いなんだと思う。だから藩と幕府に挟まれて苦しい立場なことには変わりはないけど、今回の晴興は江戸で出世しても子供の頃に育まれた“大切なもの”や紀之介が持っていた光の部分が残ってるんじゃないかっていう希望が持てる。(本当はそういうものを捨ててしまった方が楽なのにセルフ再演ではそうさせてくれないうえくみ先生…)そしてその光を源太も信じてるのがまた切ない。

 

 大人になってからの晴興の理解者は数人しかいなくて恐らく江戸には居場所がないと感じながら日々を過ごしてると思うのね。でも自身の藩は今まさに自分が関わっている政策で苦しんでいるのも分かってるから故郷に思いを馳せることも晴興には苦しいこと。そんな中で源太に「お前にだったら分かるだろ?」って言われて、実際そのとおりで、そのときせめてもの救いに「自分のことを分かってくれている人がここにもいる」って気づいてくれてたらいいなって思った。これは初演のときには全く抱かなかった感情で、そしてそれがあったから腹を括れたのなら悲しいけど嬉しい。対立してもああいう二人ならお泉ちゃんには入れない男同士の世界があってほしいと思ってしまうのよ。そうじゃなきゃ何も報われないもん…。

  源太は紀之介にとって初めての男友達で、それって結構大きな出来事なのに今思うと初演はそこまでスポットが当たってなかった気がする。(単に私がそういう風に見てなかっただけかもしれないけど)だから子供の頃の二人が以前よりも仲良さそうにしているのを見てとにかく微笑ましかった。幸せすら感じた。でもそれは2年経ったからこういう描き方になったのかなとも思う。(初演のときはまだ望海さんとのお芝居は2作目だった) ここの関係性が濃くなったことで晴興が見てる世界も広がったようにも感じる。劇場は小さくなったけどスケールは大きくなった、みたいな。いろんな残酷さが晴興を苦しめる方が物語の深みも増すもんね♡(鬼)

 

 お泉ちゃんへの淡い想いが軸にありながらも藩主として故郷の村を想い、蛍村の仲間たちのことも想い…っていう思いやりに溢れた人生で物語を終えられるのが“希望”ってことなのかな。劇中で晴興が「いい殿様にはならなかったな」って言うけど一貫して優しい殿様だったし、退団が控えているこのタイミングで早霧さんに近いキャラクターとしてまた晴興が見れたのはありがたい。あと単純に同じセリフやセットを使って新演出版として再演する熱意に感激した。お芝居の面白さや奥深さも知ったかなぁ。

 隣県なのに地味に遠い名古屋でちぎもんパーリー見せてくださってありがとうございます。これで無事に?退団公演に向けて心の準備ができそうです~(虚無)あと、

これだけいい作品、もちろん映像化しますよね???