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主に記録用

雪組 ルパン三世-王妃の首飾りを追え!- 1/2

宝塚大劇場  開演11:00、15:00

 

 

KinKi元日終わりにヤコバで雪が降るなか弾丸ムラ遠征してきた♡ご贔屓のトップ早霧さんの大劇場お披露目ってことで期待に胸躍らせながら憧れの地に降り立ったわけだけど、初大劇場で初雪組で2015年初観劇という初めて尽くしなこともあってそれはそれは楽しかった~♡

 

制作発表からいろんなメディアで取り上げられてメインキャストの見事な再現っぷりでも話題になっていたけど、実際に観劇してみたらその期待をさらに上回る娯楽作品として最高の出来栄えだった。従来の宝塚らしさも残しつつアニメならではの動きも上手く取り入れられていた。ストーリー展開も目まぐるしく変わってテンポがよく、飽きることなくあっという間に1時間35分を駆け抜けた印象。史実(というかベルばら)の要素が巧みに盛り込まれていて、それに沿って話が進んでいくからタイムスリップの説得力が増していた。でも登場人物と史実の絡みはハチャメチャだからコメディとして成立してるという脚本の上手さが光っていたと思う。あと個人的にはオーシャンズ11に似た痛快さがあって勝手にオーシャンズロスを拗らせた…。

 

早霧さんのルパンはもうルパンそのもの!あそこまで二次元のキャラクターを再現してくるとは正直予想してなくて、言っても宝塚だから無意識の抑制心が働くものだと思ってたのに、そんなの一切なく清々しいほどに2.5枚目のルパンを演じていて観ている側としても気持ちが良かった。ここで照れとか遠慮があったら観ている側にもモヤっとしたものが残るんだけど、そこはさすがの度胸というか、公演をするからには全力で役と向き合って最高のものを届けるというプライドとプロ意識みたいなものを感じざるをえなかった。あとは早霧さんが宝塚の松岡修造だってことを忘れてたよね。だってあの濃いキャラクターたちの中で一番イキイキして輝いてたのが早霧さんだったもん(笑)本当上手いことできてるよ(笑)
ルパン三世ということで宝塚らしからぬおちゃらけた部分ばかりに注目してしまいがちだけど、ちゃんと所々に早霧さんらしい繊細な表情や心情の変化が丁寧にお芝居に表れていた。この辺はトップになったからといって方向転換はしないというちょっとした安心感のようなものを感じて、以前からのファンの人たちにはホッとする一面だったんじゃないかな。

 

ゆうみちゃん(咲妃みゆちゃん)のマリー・アントワネットも見事だった。大人な女役から元気な娘役まで演じられる娘役さんという印象なんだけど、今回もその多才ぶりが発揮されていて物語に花を添えていた。最近各組で再演が続いていたベルばらでのマリー・アントワネット像とは全く違うのもとても新鮮で面白かった。自由に憧れるがゆえにわがままな言動をしてしまったり、好奇心旺盛だから現代からやってきたルパンに興味を持ってはしゃいだり…どちらかというと一般的なイメージの贅沢三昧のわがまま王妃像に近い描かれ方だったけど、それでも愛らしさを一瞬も無くさずに演じていた。
なかでも一番感動したのがお芝居での声!王妃の気品ある高音がとても綺麗で心地よくて、練習したという高笑いも全てが可愛らしく、“咲妃”という名前が本当にピッタリだった。一転してカフェー未亡人での最期を覚悟した落ち着きのあるお芝居は時の経過を見事に表現していて、改めて頼もしい娘役さんだなと今後の雪組がますます楽しみになった。

 

だいもんさん(望海風斗さん)のカリオストロ伯爵はまぁ~~~~裏切られた!!ポスターでのビジュアルといい、アニメでの設定といい、てっきり悪役だとばかり思っていて「だいもんさんの悪役楽しみ♡」くらいの気持ちで観劇に臨んだのに、いざ幕が開いたらどえらい萌えキャラだった…!忘れてたけどルパン一味は泥棒だし、フランス革命時に王妃の首飾りを狙ってたジャンヌはずる賢い悪女で、権力を手に入れようとしていたロベスピエールも革命家の顔をした悪者…ってこの物語の登場人物に正義のヒーローはいないんだよね。しいて言うなら銭形警部くらい?(笑)みんな己の私利私欲のために周りを巻き込んでいくキャラクターばかりで、これも脚本が大勝利の要因なんだろうけど、この悪党たちが王妃とどう絡んで物語が進んでいくかってところが作品の鍵になっていた。ここまで言っといてあれだけど、カリたんの萌えキャラぶりはぜひ劇場に足を運んで自身の目で確かめてほしいやつ。
あとは今回が花組から組替えして初の作品になるってことでとても楽しみにしていたんだけど、その圧倒的な歌唱力とオーラにもう目が釘付け。だいもんさんが出てきて歌うだけでその場の雰囲気がガラッと変わって、だいもんさんの一つ一つの言動に“THE宝塚”を感じた。各組の違いはまだよく分かってないけど確実に他の雪組生とは違うものがあったから、もしかしたらあれが10年以上花組で育ってきた生粋の花男ってことなんだろうかと思わず考えてしまった。長年磨いてきた技術が組が変わることでどう変わっていくのかがとても楽しみ。

 

ともみんさん(夢乃聖夏さん)の銭形警部はもうとにかく凄かった。早霧さんがルパンとして輝いていたのは、ともみんさんが一貫して銭形だったからだと思う。ルパン以上に宝塚らしさとは対極にあるこのキャラクターを演じきるそのパワフルな舞台人魂に感服した。ルパンを捕まえることに執念を燃やし生きがいにすらしている熱さと、その一方で等身大で普通のおじさんらしい哀愁もしっかりと漂わせて完璧だった。早霧さんがいたからこの舞台化が決定したと言われているけど、ともみんさんがこのタイミングで雪組にいたことも大きな後押しになったはずで、それを思うと宝塚の巡り合わせは面白いなぁとつくづく感心する。そんな完璧なともみんさんの銭形だけど、指摘するといえば足が長すぎるところ。ちょっとスタイルが良すぎます(笑)
今回で退団というのが本当に勿体ない。でもそういった強い想い入れがあるからここまで全力で役にぶつかることができるのかもしれない。新トップ早霧せいなさんのルパン三世と、同期で二番手として男役として最後である夢乃聖夏さんの銭形の掛け合いは必ず伝説になるし名作になると思う。男役としてはスマートじゃないかもしれないけど、ともみんさんの魅力がこれでもかと詰まった愛のあるキャラクターになっていた。

  

他にも、寡黙なのに地味にツボをついてくる五ェ門役のなぎしょさん(彩凪翔さん)と常に渋くも豪快な立ち回りをこなす次元役の彩風さん(彩風咲奈さん)の雪組が誇る次世代のスター彩彩コンビ、終始フェロモン垂れ流し状態のカッコイイ不二子ちゃん役のせしる姐さん(大湖せしるさん)、悪役なのにアドリブ担当で憎めないジャンヌ役の透水さん(透水さらささん)とレトー役の月城さん(月城かなとさん)のコンビ、さらにカリたんとの名コンビっぷりが光るセラフィーナ役の有沙瞳ちゃん…とまぁ名前を挙げたらきりがないくらい一癖も二癖もあるキャラクターたちが生き生きとしていて、かと言ってくどくもなくて、本当に丁度いい塩梅で傑作だった。
ド新規な私が言うのもアレだけど、興味本位で宝塚見てみたいわっていう人に是非観てもらいたい。これなら宝塚色がそこまで濃くないから意気込まなくてもライトに宝塚の世界に入れると思う。この作品で私の周りの人を観劇に連れていくというのが密かな目標(笑)

 

ショーの感想も書こうと思ったけど思いのほかルパンの感想が盛り上がってしまったからまた別で書く。